日本人駐在員のイタリア滞在関連

90日以内の労働目的の滞在

日本国籍の場合、ビジネス活動を目的とした90日以内のイタリアを含むシェンゲン協定加盟国の短期滞在については、労働ビザなしで滞在することができます。ビザなしで渡航する場合でも、パスポートの有効期間がシェンゲン領域国からの出国予定日が3ヶ月以上残っていることが必要条件ですので、ご注意ください。


駐在員及び90日以上の労働目的の滞在

イタリアに派遣された駐在員、及び90日を越える労働目的のイタリア滞在については、イタリア入国前にイタリア労働許可証(Nulla Osta)及び労働ビザ、入国後に滞在許可証(Permesso di soggiorno)を取得する必要があります。

※イタリアの法律は頻繁に改正・変更があるため、申請準備の際に最新の詳細情報を確認する必要があります。下記情報は、参考情報としてご覧下さい。

労働許可証は以下2種類があります。

  1. 自営業者用(Autonomo)自営業者、取締役、支店長、役員クラスの駐在員
    労働許可証の有効期限は、5年。
  2. 被雇用者用(Subordinato)マネージャークラスの駐在員
    労働許可証の有効期限 は、2年。最高5年まで更新可能。
  • 申請者は、イタリア出向先法人の業務または業種において、最低6ヶ月の経験を有することが必要です。
  • 申請必要書類は、イタリア出向先の所在地(ローマ、ミラノ、フィレンツェ等)を管轄する現地当局及び窓口担当者によって異なるため、詳細に確認することが必要です。
  • 必要書類の原本が日本語の場合、公証役場での公証人の証明、外務省でのアポスティーユ認証、イタリア大使館認定の翻訳者によるイタリア語翻訳及びイタリア大使館 / 領事館での宣誓供述を得る必要があります。

イタリア入国についての主要手続きの流れ

STEP 1
労働許可証の申請(Nulla Osta)
イタリアの出向先法人の代表者がオンライン申請。必要書類の原本を管轄の県庁(Perfettura)または地元警察(Questura)に提出。自営業者用の場合は、同時点で、申請者が労働契約に署名。
STEP 2
ビザの申請
申請者が所轄の在日イタリア大使館、または領事館で申請
STEP 3
イタリア入国
STEP 4
滞在許可証の申請(Permesso di soggiorno)
入国8日以内に郵便局で滞在許可証申請書類の提出。被雇用者の場合は、同時点で県庁にて労働契約に署名。警察署にて指紋採取。
STEP 5
住民登録
イタリア居住地の管轄市役所で住民登録。登録後、IDカード(Carta d’Identità)が発行される。
  • 各証明書の取得に要する時間は、申請する都市によって異なりますので、余裕をもって準備・申請することをお勧めします。
  • 滞在許可証申請時に、郵便局で渡される受領証は、滞在許可証が発行されるまで仮証明書として利用するので、紛失しないようにご注意下さい。


現地法人の立ち上げ

会社形態の選択

外国企業はイタリアにおいて、現地法人、支店、駐在事務所を設立することで、事業を営む事ができます。会社設立手続きは、法律に基づき、公証人、会計士、弁護士がそれぞれ決められた手続きを行います。

いずれの形態においても、設立必要書類は、公証役場での公証人の証明、外務省でのアポスティーユ認証、また日本語 / 英語で作成する場合は、イタリア大使館認定の翻訳者によるイタリア語翻訳及びイタリア大使館 / 領事館での宣誓供述を得る必要があります。


現地法人( S.r.l. 有限会社 , S.p.A. 株式会社)の場合

基本的に、設立手順はS.r.l.とS.p.A.は同様ですが、新規進出の場合はS.r.l.の方が、スリムな会社構造をもち、経営コストとリスク抑えやすいので、第一ステップとしては妥当と思われます。 S.r.l.とS.p.A.の大きな違いは以下の通りです。


S.r.l. S.p.A
最低資本金 10,000ユーロ 50,000ユーロ
株式発行の有無
法定監査 監査役会の設置義務は、以下の要件を満たす場合のみ。
  • 連結財務諸表の作成を義務付けられている場合
  • 法定監査を義務付けられている法人を支配している場合
  • 2期連続した事業年度において以下2つの要件を満たす場合
  • 総資産額が4,400,000ユーロを越える場合
  • 売上高が8,800,000ユーロを越える場合
  • 従業員が年平均50名を越える場合
上記要件を満たす場合、監査役会を置かず、外部監査(公認会計士または外部監査法人)を受ける方法も認められる。
監査役会の設置は法定義務。監査役会は、内部監査役3名と外部監査役で構成されていなければいけない。定款に一切の定めのない非上場会社は、外部監査に代わり、監査役会から財務諸表の監査を受けることが認められる。この場合、監査役会が法定監査の実施を認められている者(公認会計士)で構成されていなければいけない。

会社設立の流れ

STEP 1:必要書類の準備
設立証書(Atto costitutivo)、定款( statuto)、 *委任状など。
*イタリア法律上、外国法人の会社設立において、設立出資者に代わって、イタリア現地で会社設立手続きを行うことを委任する代理人をたてる必要がある。
STEP 2:資本金の送金
出資者が単独の場合は、資本金全額、出資者が複数の場合は、資本金の25%以上を払い込む。
STEP 3:証明書の提出
上記1の必要書類、及び金融機関による資本金払込証明書を代理人を通して公証人に提出
STEP 4:公証人による商工会議所での登記
登記完了後、法人格を取得する。
STEP 4:税務関連の手続き及び経理関連の準備
  • 付加価値税番号(Partita IVA)、税務番号(Codice fiscale)の取得など
  • 財務諸表、法定帳簿類(libri obbligatori)の準備
  • STEP 6:業務開始通知

    支店の場合

    支店の法的責任・営業損失は、日本の親会社が負う事になる他、イタリアの法律と日本の法律に従った会計帳簿を二重管理しなければいけないというマイナス面がある為、事業のスタートアップとして最初に支店を開設し、後に現地法人に切り替えることをお勧めします。例外として、金融・保険・航空会社等の特定分野においては、支店として存続する方がメリットがあります。


    支店設立の流れ
    STEP 1
    必要書類の準備・公証人への提出
    親会社取締役会議事録(支店設立の決議および代表者の任命が記載されていること)、権限委譲書、親会社定款、親会社登記簿謄本 など
    STEP 2
    公証人による商工会議所での登録
    STEP 3
    税務関連の手続き
    付加価値税番号(Partita IVA)、税務番号(Codice fiscale)の取得など
    STEP 4
    業務開始通知

    駐在事務所の場合

    駐在員事務所は、現地法人ではなく、マーケティグ、市場調査、科学的研究、情報収集活動のみに専念する、イタリアに場所を固定した外国企業の事務所であるゆえに(生産活動または営業行為を行うことはできない)、課税対象とはなりません。現地法人や支店を設立する前に、イタリア市場の感触をつかみたい場合や、イタリアに連絡事務所をおいてイタリアビジネスを促進させたい場合に有用です。

    駐在事務所設立の流れ

    STEP 1:必要書類の準備・公証人への提出
    親会社取締役会議事録(駐在員事務所設立の決議および事務所代表者の任命が記載されていること)、権限委譲書、親会社定款、親会社登記簿謄本 など
    STEP 2:公証人による商工会議所での登録・税務番号(Codice fiscale)の取得



    日伊ビジネスの違い

    イタリアとビジネスを行う上でのコツ(Tips)と、知っておくと役に立つイタリア文化をいくつかご紹介します。


    「待つ忍耐」が良い関係を築く

    良好な人間関係の構築は、ビジネスを成功させるための世界共通のカギですが、イタリア人と良い関係を築くためのポイントは、まず「待つ忍耐」といえます。

    人にもよりますが、往々にして、イタリア人から返答をもらうのに時間を要します。

    返答がこないと、スケジュールの遅れがでる心配や焦りが出てきてしまいますが、返答の催促を何度も行うと、イタリアでは逆効果になることがあります。

    日本では、メールコミュニケーションの場合、すぐに返答できない内容の場合は、受領の連絡を先に入れて、相手を待つストレスから解放するのが一つのマナーと言えますが、日常生活のあらゆることにおいて時間がかかることに慣れているイタリア人は、お互いに対して寛容にならざるを得ないので、タイムリーな返答がなくても、それほど問題視しません。

    イタリア人からタイムリーな返答がなくても心配せず、また相手に返事を急がせる、プレッシャーを与えることは避けた方が、相手を信頼していることを示し、結果的に良好なビジネス関係を築く事ができます。

    最初は返事や要求に対する行動に時間を要しても、ある程度は忍耐強く待つ事で、信頼関係ができあがり、一度信頼関係が出来上がると、その後の展開は早くなります。


    「急な変更」に驚かず、臨機応変に対応できるのが大事なビジネススキル

    日本人は最初に計画をたて、その計画に沿って仕事を進めるのが主流ですが、イタリア人は計画をたてても、常に変更していく傾向が強いです。それは、よりよいモノ・サービス作り上げるためには、さらに良い方法を求めて柔軟に変更していくのが普通とイタリア人は考えているからです。従って、イタリアでは、あらゆることに急な変更が起きるのが日常茶飯事(言い換えると、イタリア人は計画的に物事を進めるのが苦手)です。

    イタリアとビジネスをする上で、予期しない急な変更が起きることが多々ありますが、驚かず、怒らず、不安にならず、できるだけ柔軟に対応することを心がけるとよいでしょう。


    やたらと効率性を突きつけない

    ビジネスの上で効率性は大切なことですが、「創造性」や「美」を第一に大切にする文化のイタリア人に対して、効率性を全面的に突きつけると、逆にイタリアだからこそもっている本来の価値を失う事があります。特にイタリアから仕入れる場合、日本人にとって非効率に見えるやり方であっても、どのようなモノを望んでいるのかを相手のイタリア人に伝え、ある程度相手にまかせるゆとりを持つと、素晴らしい唯一のモノが生まれる可能性があり、それがイタリアとビジネスをする醍醐味ともいえます。


    イタリアのビジネスアワーと時間に対する概念の違い

    イタリアは北から南にいくほど、時間の感覚が総じて緩やかになります。 平均的なランチの共通時間帯は、だいたい13時〜14時半です。午後に連絡をとる際は、14時半以降(南イタリアは15時以降)に電話をすると、つながる確立が高いです。

    また、5分前精神が根付いた日本では、約束時刻の5分前に到着するのがマナーですが、逆に5分遅れて到着するのがマナーのイタリアでは、その国民性が仕事の場面にも反映されます。5〜10分程度の遅れは連絡がないのが通常で、またアポイント時刻よりも早く到着すると、担当者が不在あるいは、まだ準備ができておらず、結局待たされることが多いです。

    日本では時間に正確であることは大切なことですが、 イタリア人にとっては、時間に厳格すぎると少し窮屈に感じるようです。

    イタリア現地にいる時は、いったん肩の力を抜き、イタリア式時間の感覚を取り入れてみると、余裕ができてよいかもしれません。


    イタリア人の仕事とバカンスに対する考え方

    イタリア人は、人生を楽しむために仕事をするので、ON とOFFの切り替えが非常にはっきりしています。金曜日の仕事が終わった後に、週末に過ごす山や海に移動し、大切な家族とともに目一杯リフレッシュをして、月曜日から仕事に打ち込みます。

    特に夏のバカンスは非常に大切で、日常から離れた場所で、夫婦や家族と心身ともにリフレッシュします。

    イタリアと取引をする場合、夏のバカンス時期にあたる7月後半から8月一杯、またクリスマスとイースター前後は、イタリアでは連休をとるので、取引先の休暇スケジュールを事前に確認しておくと、ビジネスに支障がでるのを防ぐことができるのでよいでしょう。


    食事のマナー

    イタリア人と会食する際に、失敗しないイタリアの食事の基本マナーをいくつか紹介します。


  • ワインは香りを楽しみ、食事をより美味しくするものなので、ゆっくりと味わい、酔うまで飲まないように注意。
  • 女性が男性にワインをつぐ=男性が女性にワインをつがせるのは御法度。ワインに限らず、水もビールも男性がつぐのがスマート。
  • 食後にカプチーノは飲まない
  • パスタをすすらない。スープを音をたてて飲まない。会食では、ロングパスタよりショートパスタを選ぶ方が食べやすく、ソースで汚れることが少なく無難。