イタリア出展に向けて

展示会は商談と開拓の場

展示会の出展は、ビジネスのチャンスを大きく広げます。

売り込みのためにイタリアに日本から来ても、自らアポイントをとり、イタリア各地のアポイント先に移動し、商談できる数は限られます。

一方、展示会に出展すれば、短時間で多くのバイヤー・潜在顧客と商談を効率的に行えます。また、自社商品のイタリア市場での需要性や競合他社との比較、イタリア市場の商品傾向等の情報収集を行える他、ブース訪問者の反応がその場でわかり、テストマーケティングも行えます。さらに、展示会では実際の商品を訪問者にみてもらい、商品の実演や試食を行うことで、会社・商品の効果的な宣伝・広告になります。

イタリア展示会に出展する際の注意すべき点として、出展目的が、「商品をサンプルとしてみせて商談をする」=「展示会終了後は、商品を日本に持ち帰る」場合は、商品サンプルは展示扱いになり、関税を支払う必要はありません。

しかしながら、展示会でテスト販売を行う場合は、商品に関税がかかるだけでなく、販売行為=商業活動を行うことになるため、イタリアの商業税番号(Partita IVA)を一時的に取得し、売上に対する税金を支払わなければいけません。Partita IVAの取得、税金支払い手続きは、イタリアの会計士に依頼しなければいけないので、会計士に払う費用もかさむことになります。従って、イタリア展示会に出展する場合は、商品サンプルの展示と商談のみ行い、テスト販売を展示会で行うのは費用対効果の点からお勧めしません。


事前調査と準備が成功の基本

準備・段取りをしっかりと組んで事前調査や視察を行うことが、結局は時間と経費を節約し成功への一番の近道となります。展示会に出て「市場性を見極めたい」「可能性を探ってみたい」「反応をみたい」「意見を聞きたい」と出展を最初に考えられる企業様が多くいらっしゃいます。それも一つの市場調査方法かもしれません。しかし、それだけの費用を投ずれば、相当のマーケット調査ができるのも事実です。イタリアは日本とは異質なマーケットです。考え方、ライススタイルのスタディも含め、市場を知ることが最も重要です。

STEP 1
市場を知る
イタリアのライフスタイルやビジネス構造をしっかり理解するところからスタートです。 イタリア人のライフスタイルを理解することは、イタリア向けの「最適な商品」を準備するための入り口です。生活に合わない製品を仕入れる店舗、購入する消費者は存在しないからです。
STEP 2
イタリア市場向けの商品開発
イタリアの市場に合致した価格、デザイン、サイズ、色、パッケージング等の調整も必要となってきます。ローカルフィットです。イタリア市場参入の「核心」の解明努力を怠るとイタリアのメインストリームへの参入はできません。
STEP 3
流通網の構築
イタリアのビジネスの流れは、細かい点で日本のビジネスとの相違が存在します。日本の企業にとって、日本の市場においては得意先があって、受注、流通、回収体制が出来上がっています。イタリア市場においても同様の流れを構築しておくことが大事です。販売を開始する前に、イタリアのマーケットに適した受注・回収体制を含めた流通網の構築が大事です。
STEP 4
展示会出展
一見、遠回りのようですが、事前準備と調査・視察をしっかりすることが、時間と経費の最大の節約になり、失敗を回避する最大の策でもあります。


代表的な展示会紹介

開催時期 分野 開催場所 展示会名 説明
1月 食品 リミニ SIGEP ジェラート・菓子展示会
年2回(1月・6月) 服飾 フィレンツェ Pitti Immagine Uomo メンズファッション展示会
年2回(1月・6月) 服飾 フィレンツェ Pitti Immagine Bimbo 子供服展示会
年2回(1月・7月) 服飾 フィレンツェ Pitti Immagine Filiati 糸・生地の国際展示会
年2回(1月・6月) 服飾 ミラノ White Uomo メンズファッション展示会
年2回(2月・9月) 服飾 ミラノ White Milano Show レディースファッション展示会
年2回(3月・9月) 服飾 ミラノ MICAM 世界最大の靴の展示会
3月 食品 トリエステ Olio Capitale オリーブオイル展示会
3月 書籍 ボローニャ Bologna Children’s Book Fair 国際児童図書展
4月 食品 ヴェローナ VINITALY ワイン展示会
4月 デザイン ミラノ Salone Internazionale del Mobile 家具・デザインの国際展示会
5月(隔年) 食品 パルマ CIBUS イタリア最大の国際食品展示会
5月 食品 ミラノ TUTTOFOOD 国際食品展示会
9月 雑貨 ミラノ HOMI 雑貨・ギフト展示会
9月 服飾 ミラノ Mipel イタリア最大の鞄・革製品展示会
9月 食品 ボローニャ Sana オーガニック・自然食品展示会
9月(隔年) 食品 トリノ Salone del gusto スローフード協会主催食品展示会
12月 自動車 ボローニャ Motor Show Bologna 国際自動車展示会



イタリア展示会出展の流れ

事前の調査・視察がイタリア進出のカギを握っていることは何度も強調したい点です。展示会での実成果を上げるためにも調査を十分にやることは必須で、しっかりやればやるほど展示会の成果も比例して期待できると言えます。出展までの流れを見てみましょう。


商品の準備
イタリア人の生活習慣、イタリアのライフスタイルに合致した商品が売れる商品です。調査を踏まえて商品企画を行い更なる改善・改良を加えたデザイン、サイズ、色、パッケージング、価格等の取り組み努力が展示会での成果につながります。
販売体制の構築
販売組織体制の構築は必須です。ビジネスの基盤となります。イタリア市場で商品の販売、流通業務をやってくれるパートナーとなる「エージェント」が前もってみつかれば後は楽です。商品力があって市場性が高ければ、ブースで先方からアプローチがあるでしょう。また、事前に各方面に案内を広く告知することでブースに呼び寄せることができます。
見込み先リストの作成
ターゲットとする見込み客リストの作成です。対象を絞って集中した取り組みが大事です。
展示会の事前視察
出展前の展示会視察は自社商品にとって相応しい展示会であるかどうかの判断も含め重要です。競合品を扱う個々出展者のブースを見て回り、ブース全体のつくり方、ディスプレイ手法・表示手法、商品構成などをチェックします。展示会の視察と同時に小売店など流通の視察もお奨めです。
出展の申し込み
展示会主催者とコンタクトをとり、質問点などを質した後、出展の申し込みを行います。多くは、オンラインで申し込みが可能です。イタリア語または、英語でのやりとりが原則となるため、弊社などの専門会社を介してやればスムーズです。
ブースデザイン&ディスプレイ
センスが良くインパクトのあるブース設計とディスプレイはバイヤーを惹きつける重要な要素です。華美で豪華なブースである必要はありませんが、美と芸術にあふれる国に生まれ育ったイタリア人は、美的感覚・創造性にたけています。特に日本文化を生かした、ブース造形の工夫をすると、集客効果につながります。
通訳
商品説明ができ、必要なやりとりができるスタッフは受注活動のカギとなります。バイヤーが入りやすく、明るい雰囲気作りが大切で、現地のイタリア人スタッフの採用は効果的です。その場合、事前にしっかりと商品説明、受注方法などのブリーフィングを徹底する必要があります。イタリア人の英語力は、日本人と同様、個人差があるので、円滑なコミニュケーション・その後のビジネスに結びつけるためには、通訳者(兼アシスタント)の確保が必要です。
展示会場への搬入・準備
商品サンプルを展示会場に郵便や運送会社を介して直接送っても荷物が届かなかったり、途中で紛失してしまう可能性があります。サンプル搬入には注意が必要です。会場には手持ちで持ち込むか、エージェントやパートナー会社に事前に送っておくのが安心・安全です。